アメリカの自動車保険会社大手に、State Farmという会社がある。ここが妙なiPhoneアプリを開発した。
その名も「Driver Feedback(ドライバー・フィードバック)」。iPhoneに付いている加速器やGPS機能を利用して、ドライバーの運転ぶりを点検しようというものである。
例えば、交差点で止まるときのブレーキの踏み方、あるいは、コーナーを曲がる際のスムーズさ、そして加速するときのアクセルの踏み方などがこれで分かるのだという。
ドライバーは、運転を始める際にスタートボタンを押し、目的地に到着すると終了ボタンを押す。そうすれば、その間のドライブの経路と共に、それぞれの得点が表示されて、自分の運転の上手さが分かるというしくみである。いくつかの運転記録を比較して上達したかどうかを見ることもできる。
このアプリ、iPhoneに搭載されている加速器やGPS機能をうまく使ったものとして評判になっているが、残念な点がいくつかある。
最初の欠点は、リアルタイムでフィードバックをくれないこと。「そんな加速の方法は危ない!」などとその場でフィードバックをくれれば、事故も防げるだろうが、そういう具合には使えない。あくまでもドライブの後で振り返るためのものなのだ。
そしてもうひとつの欠点、これがアプリのあり方というものについていろいろ考えさせてくれる。
このアプリは、何と言っても保険会社が出しているので、上手に運転できれば保険料を減らしてくれるのかと期待したいところだが、がっかりしたことにそうではない。あくまでもドライバーが自分の運転癖を知って反省するための道具という位置付けだ。あるいは、親が免許取り立ての子どもに持たせて、安全運転を証明させるといった風にも使えるかもしれないが、どうも一度興味半分で利用した後は、たびたび使おうというモチベーションがわかなさそうである。
これがポイント制か何かだったら、どうだろう。一定の点数を稼げば、来期の保険料が3%安くなるといったような特典があれば、アプリの利用は増し、安全運転も増え、誰にとってもWin-Winの状態になるはず......。そんなことをすると、保険料収入が減って損をするのはほかでもない保険会社だろうか。
だが、考えてみれば、そういうところにこそ、広告付きアプリのような方法を持ち込んで元が採れ、さらに無料アプリでもうけまで出るような方法を考えてほしいものである。残念なことに、そういうところにまで及ばないのが、今のアプリの状況と言える。
今のアプリは全体として「無料」と「有料」、「広告」という3つの"駒"で回しているだけ。これが、アプリがきっかけになって、もうちょっと大きなビジネスのエコシステムまでひとつのサイクルに組み込まれていくようなことがあれば、おもしろそうな発展があるのにと思う。
まあ、それでも、けっこうおもしろいことを思い付いたものだ。iPhoneの加速器機能は、タッチ操作やゲームなど意識的に行う入力側で多用されてはいるが、センサー機能を生かす利用はまだあまり見当たらない。一部のスポーツアプリや睡眠リズムを感知するアプリくらいだろうか。このあたりには、まだまだ可能性が隠れているのだ。
アプリがたくさんあって、ちょっとウンザリしそうになっていた。いや、それにはまだ早いのだ。
うわっ!
こんなアプリ、私なら絶対付けない!!
やばい運転してるから!?
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